後世に伝えられる旧いもの、埋もれてい忘れられる旧いもの
本日もご覧いただき、ありがとうございます。
余呉湖に行った帰り道。
鯖街道に入ってずうっと走り、途中峠に差し掛かるけっこう手前で、右手に茅葺屋根の家に電気がついているのが見えました。
ん? あんなところに茅葺屋根の家なんかあったっけ?
橋を渡ってみると、庭もきれいに手入れが行き届いた古民家がありました。

場所はここです。
大きな地図で見る
表に看板があります。
どうやら自由に観てもよいようです。

説明書きによるとここにもともとあったものではないようです。
葛川貫井というのはこの場所よりも少し北に行ったところで、そこから移築されたそうな。
雰囲気としては、移築したという感じは全くせず、素晴らしい保存状態です。

玄関を入ると、ちょっと狭めの土間に農業に使うものと思われる傘や蓑、籠などが置かれています。
門のところの説明書きに書かれていたように、この近辺で使われていた日常品なのでしょう。

玄関を上がるとすぐに居間があります。

昔の住宅はあまり廊下というものがなく、部屋と部屋が襖1枚で隔てられているものが多いですが、ここもそんな造りです。
隣の部屋には囲炉裏もあります。

向こう側にある大きなお釜は...

飯炊き釜のようですが、すごい大きさですね、いったい何合炊けるんでしょう。
こちらは客間のようです。
本当にきれいにしています。とても大昔からあるような風情ではありません。

鴨居のところにあるのは家紋でしょうか。

これは珍しい、手回しのミシンです。

帰宅してからネットで検索してみたら、このLEADという会社、いまでもあるようです。同じ型のミシンの画像も多数ヒットします。
いまは自分で服を縫う裁縫をする人口も減ったため、ミシンそのものも見ることは少なくなりました。
そういえば私の母親も、手回しではありませんでしたが、よく似たデザインの電動ミシンを持っていました。確か "MITSUBISHI" のエンブレムがついていたような記憶があります。
子供心にぬるぬるぬる...という感触で回るミシンに精度の高いメカニカルなイメージを持ったのを覚えています。
ちょっと外回りを見てみましょう。




茅葺の屋根はだいぶ傷んできているようで、案内をしてくださったご婦人が、そろそろ葺き替えなきゃならないですね、とおっしゃっていました。

移築する際に庭もきれいに整備されていて、当然のように紅葉も。

これは秋にも一度来てみたいところです。
また一つ、秋のツーリングで来たいところが増えました。ここだったらちょっと頑張ったら自転車でも来れるな。

さあ、帰ろう。


と、鯖街道を走っていると、あるトンネルを抜けたところでふと気がついたことがありました。
この写真はUターンをしたあと、向こうに見えているトンネルからこっちに向かって走ってきたのですが、左下に川が見えます。

少しその場所に寄って橋の下を見てみると...

ガードレールが見えますね。

これ、実はこの鯖街道 R367の旧道なのです。
もう25年ほど前、京都の会社の独身寮に住んでいた時、よく寮の友人とこのR367を使って三方五湖までツーリングに行ったことがありました。
そのころはこの橋の下の旧道しかなく、いま走っている道はその後新しくできたバイパス=新道なのです。
川がカーブしている外側が完全に水没しています。

橋をくぐった反対側も...。

同様の有様で、ところどころ、アスファルトがはがれているところもあります。
ガードレールがひしゃげているのは、近年よく増水するためにいろんなものがぶつかったためでしょう。
恐らく、度重なる川の増水で上流から土砂が運ばれてきて徐々に川底が埋まってしまったのでしょう。
昔からこの旧道は、走りながら、大雨が降ったら川があふれそうだなぁ、という感想はもっていたのですが、バイパスができてからはわざわざ旧道を通るクルマもなく、道路維持費の関係から放置されてしまったようです。
まさかこういうふうに道が土砂に埋もれることを予想してバイパスを造ったのではないのでしょうが、時代の流れなのでしょうね。
あの谷間の木漏れ日の中を、転がっている石ころや、大穴があいたアスファルトに気を付けながら走ったのは懐かしい思い出です。
この写真を撮ったのはこのあたりです。
大きな地図で見る
この旧道は、あと数年、いやひょっとしたら数ヶ月でこのGoogle Mapからも消去されてしまうかもしれません。
スクリーンショットでその痕跡だけでも残しておきましょう。

このスクリーンショットをご覧いただければお分かりのように、川は逆S字を描いて流れていますが、地図で見てその上側を走っているはずの旧道を完全に呑み込んでしまっています。
旧いものはいずれ消えていく。
でも、古民家のように、ごく一部ではあっても大切に保存されるものと、こうして朽ちていき、いずれ草木に埋もれて忘れ去られてしまうものとの対比を同じ街道沿いで見られたのはちょっと感慨深いものがありました。
時代はどんどんスピードと快適さを追い求めて、それが流れではあるのでしょうが、こんなスローな道が風塵と化して土砂に埋没していくのを見るのはさびしいものです。
バイパスはクルマ専用、旧道は歩行者や自転車専用と棲み分けられたらいいのでしょうが、地方財政も窮する中では両建ては無理なんでしょうね、仕方ないですね。

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余呉湖に行った帰り道。
鯖街道に入ってずうっと走り、途中峠に差し掛かるけっこう手前で、右手に茅葺屋根の家に電気がついているのが見えました。
ん? あんなところに茅葺屋根の家なんかあったっけ?
橋を渡ってみると、庭もきれいに手入れが行き届いた古民家がありました。

場所はここです。
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表に看板があります。
どうやら自由に観てもよいようです。

説明書きによるとここにもともとあったものではないようです。
葛川貫井というのはこの場所よりも少し北に行ったところで、そこから移築されたそうな。
雰囲気としては、移築したという感じは全くせず、素晴らしい保存状態です。

玄関を入ると、ちょっと狭めの土間に農業に使うものと思われる傘や蓑、籠などが置かれています。
門のところの説明書きに書かれていたように、この近辺で使われていた日常品なのでしょう。

玄関を上がるとすぐに居間があります。

昔の住宅はあまり廊下というものがなく、部屋と部屋が襖1枚で隔てられているものが多いですが、ここもそんな造りです。
隣の部屋には囲炉裏もあります。

向こう側にある大きなお釜は...

飯炊き釜のようですが、すごい大きさですね、いったい何合炊けるんでしょう。
こちらは客間のようです。
本当にきれいにしています。とても大昔からあるような風情ではありません。

鴨居のところにあるのは家紋でしょうか。

これは珍しい、手回しのミシンです。

帰宅してからネットで検索してみたら、このLEADという会社、いまでもあるようです。同じ型のミシンの画像も多数ヒットします。
いまは自分で服を縫う裁縫をする人口も減ったため、ミシンそのものも見ることは少なくなりました。
そういえば私の母親も、手回しではありませんでしたが、よく似たデザインの電動ミシンを持っていました。確か "MITSUBISHI" のエンブレムがついていたような記憶があります。
子供心にぬるぬるぬる...という感触で回るミシンに精度の高いメカニカルなイメージを持ったのを覚えています。
ちょっと外回りを見てみましょう。




茅葺の屋根はだいぶ傷んできているようで、案内をしてくださったご婦人が、そろそろ葺き替えなきゃならないですね、とおっしゃっていました。

移築する際に庭もきれいに整備されていて、当然のように紅葉も。

これは秋にも一度来てみたいところです。
また一つ、秋のツーリングで来たいところが増えました。ここだったらちょっと頑張ったら自転車でも来れるな。

さあ、帰ろう。


と、鯖街道を走っていると、あるトンネルを抜けたところでふと気がついたことがありました。
この写真はUターンをしたあと、向こうに見えているトンネルからこっちに向かって走ってきたのですが、左下に川が見えます。

少しその場所に寄って橋の下を見てみると...

ガードレールが見えますね。

これ、実はこの鯖街道 R367の旧道なのです。
もう25年ほど前、京都の会社の独身寮に住んでいた時、よく寮の友人とこのR367を使って三方五湖までツーリングに行ったことがありました。
そのころはこの橋の下の旧道しかなく、いま走っている道はその後新しくできたバイパス=新道なのです。
川がカーブしている外側が完全に水没しています。

橋をくぐった反対側も...。

同様の有様で、ところどころ、アスファルトがはがれているところもあります。
ガードレールがひしゃげているのは、近年よく増水するためにいろんなものがぶつかったためでしょう。
恐らく、度重なる川の増水で上流から土砂が運ばれてきて徐々に川底が埋まってしまったのでしょう。
昔からこの旧道は、走りながら、大雨が降ったら川があふれそうだなぁ、という感想はもっていたのですが、バイパスができてからはわざわざ旧道を通るクルマもなく、道路維持費の関係から放置されてしまったようです。
まさかこういうふうに道が土砂に埋もれることを予想してバイパスを造ったのではないのでしょうが、時代の流れなのでしょうね。
あの谷間の木漏れ日の中を、転がっている石ころや、大穴があいたアスファルトに気を付けながら走ったのは懐かしい思い出です。
この写真を撮ったのはこのあたりです。
大きな地図で見る
この旧道は、あと数年、いやひょっとしたら数ヶ月でこのGoogle Mapからも消去されてしまうかもしれません。
スクリーンショットでその痕跡だけでも残しておきましょう。

このスクリーンショットをご覧いただければお分かりのように、川は逆S字を描いて流れていますが、地図で見てその上側を走っているはずの旧道を完全に呑み込んでしまっています。
旧いものはいずれ消えていく。
でも、古民家のように、ごく一部ではあっても大切に保存されるものと、こうして朽ちていき、いずれ草木に埋もれて忘れ去られてしまうものとの対比を同じ街道沿いで見られたのはちょっと感慨深いものがありました。
時代はどんどんスピードと快適さを追い求めて、それが流れではあるのでしょうが、こんなスローな道が風塵と化して土砂に埋没していくのを見るのはさびしいものです。
バイパスはクルマ専用、旧道は歩行者や自転車専用と棲み分けられたらいいのでしょうが、地方財政も窮する中では両建ては無理なんでしょうね、仕方ないですね。

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コメントの投稿
No title
何時ごろまで生活していた家なのでしょう?
最近まで住んでいたような感じですね
移築したとは思えない状態です
川に飲まれつつある道路も哀愁を感じますね
ガードレールもそのままなんですね~w
最近まで住んでいたような感じですね
移築したとは思えない状態です
川に飲まれつつある道路も哀愁を感じますね
ガードレールもそのままなんですね~w
Re: No title
TREKさん、こんばんは。
> 何時ごろまで生活していた家なのでしょう?
> 最近まで住んでいたような感じですね
> 移築したとは思えない状態です
この時にもらった紹介パンフレットがあるんですが、昭和59年から60年にかけて移築、復元されたと書いてあるんですが、実際の生活はその直前までだったんでしょうかね〜
まあとにかくきれいにしてあります。
よく、茅葺の下からトタンが覗いていることがありますが、そんなこともなくて、本当に昔の佇まいのまんまのようです。
> 川に飲まれつつある道路も哀愁を感じますね
> ガードレールもそのままなんですね~w
ここ、昔よく走った道なんですよね。
これがあの国道の成れの果てかー、って感じです。
まあ、こんな道だったから、夏は慢性的な渋滞路でした。
新しくなるのは時代の流れですね。
でもちょっと寂しいな(^^;;
Kachi//
> 何時ごろまで生活していた家なのでしょう?
> 最近まで住んでいたような感じですね
> 移築したとは思えない状態です
この時にもらった紹介パンフレットがあるんですが、昭和59年から60年にかけて移築、復元されたと書いてあるんですが、実際の生活はその直前までだったんでしょうかね〜
まあとにかくきれいにしてあります。
よく、茅葺の下からトタンが覗いていることがありますが、そんなこともなくて、本当に昔の佇まいのまんまのようです。
> 川に飲まれつつある道路も哀愁を感じますね
> ガードレールもそのままなんですね~w
ここ、昔よく走った道なんですよね。
これがあの国道の成れの果てかー、って感じです。
まあ、こんな道だったから、夏は慢性的な渋滞路でした。
新しくなるのは時代の流れですね。
でもちょっと寂しいな(^^;;
Kachi//
私も先日鯖街道を走って、マキノ→三方→常神半島を回ってきました。
昔の常神の道路はとんでもないクネクネ道でしたが、トンネルが何本も開通しててアッ言う間に半島の先端まで行けるようになってました。
旧道はトンネル入口脇にひっそりと佇んでますね。もう誰も通らないだろうなぁ。
昔の常神の道路はとんでもないクネクネ道でしたが、トンネルが何本も開通しててアッ言う間に半島の先端まで行けるようになってました。
旧道はトンネル入口脇にひっそりと佇んでますね。もう誰も通らないだろうなぁ。
Re: タイトルなし
きそやんさん、こんばんは。
> 私も先日鯖街道を走って、マキノ→三方→常神半島を回ってきました。
おお、行かれていましたか。
この間、本当につい先日、丹後半島の棚田の方を行ったときだったか、にどこを走っているときだったか、そちら方面で私のと同じシルバーのRTとすれ違って手を挙げたんですが、まさかきそやんさんじゃないですよね~(^^;
> 昔の常神の道路はとんでもないクネクネ道でしたが、トンネルが何本も開通しててアッ言う間に半島の先端まで行けるようになってました。
> 旧道はトンネル入口脇にひっそりと佇んでますね。もう誰も通らないだろうなぁ。
旧道も、新道ができてしばらくは通れるようですが、そのうち荒れてきて、メンテナンスもされないのでバリケードで入れなくされてしまいますね。
走ったことがある旧道がああいうふうに閉ざされてしまうのはさびしいものですが、まあ時代の流れには抗えませんね。
Kachi//
> 私も先日鯖街道を走って、マキノ→三方→常神半島を回ってきました。
おお、行かれていましたか。
この間、本当につい先日、丹後半島の棚田の方を行ったときだったか、にどこを走っているときだったか、そちら方面で私のと同じシルバーのRTとすれ違って手を挙げたんですが、まさかきそやんさんじゃないですよね~(^^;
> 昔の常神の道路はとんでもないクネクネ道でしたが、トンネルが何本も開通しててアッ言う間に半島の先端まで行けるようになってました。
> 旧道はトンネル入口脇にひっそりと佇んでますね。もう誰も通らないだろうなぁ。
旧道も、新道ができてしばらくは通れるようですが、そのうち荒れてきて、メンテナンスもされないのでバリケードで入れなくされてしまいますね。
走ったことがある旧道がああいうふうに閉ざされてしまうのはさびしいものですが、まあ時代の流れには抗えませんね。
Kachi//
No title
Kachiさん、こんばんは^^
苔&旧道好きとしては、茅葺屋根の葺き替えはしないでほしいと思ったり
朽ちてゆく旧道になんとなく切なくなったり・・・
日本の「わびさび」、素敵です(*^^*)
苔&旧道好きとしては、茅葺屋根の葺き替えはしないでほしいと思ったり
朽ちてゆく旧道になんとなく切なくなったり・・・
日本の「わびさび」、素敵です(*^^*)
Re: No title
mayさん、こんばんは。
> Kachiさん、こんばんは^^
>
> 苔&旧道好きとしては、茅葺屋根の葺き替えはしないでほしいと思ったり
> 朽ちてゆく旧道になんとなく切なくなったり・・・
mayさんも哀愁漂う旧いものがお好きなようですね、うれしいなぁ(^^)v
やっぱりカブなんかで走ることを考えると、旧道のあのスローな感じがいいですよね。
新しい道はバイパスみたいになってスピードが高すぎる(汗)
使わなくなってもいいから、残っていてほしいなぁ、と思います(^^;
> 日本の「わびさび」、素敵です(*^^*)
わびさび、温故知新、最近とっても気になります。
実はこの旧道、別の日にもう一回訪ねて橋の下まで行ってみたんです。
また記事にしましょうかね~(^^)
Kachi//
> Kachiさん、こんばんは^^
>
> 苔&旧道好きとしては、茅葺屋根の葺き替えはしないでほしいと思ったり
> 朽ちてゆく旧道になんとなく切なくなったり・・・
mayさんも哀愁漂う旧いものがお好きなようですね、うれしいなぁ(^^)v
やっぱりカブなんかで走ることを考えると、旧道のあのスローな感じがいいですよね。
新しい道はバイパスみたいになってスピードが高すぎる(汗)
使わなくなってもいいから、残っていてほしいなぁ、と思います(^^;
> 日本の「わびさび」、素敵です(*^^*)
わびさび、温故知新、最近とっても気になります。
実はこの旧道、別の日にもう一回訪ねて橋の下まで行ってみたんです。
また記事にしましょうかね~(^^)
Kachi//