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カメラの露出 外部測光・絞り込み測光・開放測光

本日もご覧いただき、ありがとうございます。

先日のオールドNIKKORレンズのAi方式への改造の記事を読んで、なぜAiではあの削り方をするだけで『レンズを装着しただけで開放F値がボディに伝わるのかわからないので、もう少し教えて!』というブログフォーム経由のメールをいただきました。
件の記事の解説ではかなり駆け足だった嫌いはあるなぁと個人的にも思っていましたので、もうちょっと掘り下げて書こうかな、と思います。
まず基礎知識です。

■適正露出ってナニ?
もちろん、適正露出というのは様々なシーンにおいて千差万別な定義ができるのですが、露出計で計測する露出においては、やはり具体的な定義が必要で、露出計においては【18%の反射率を持つグレーカードを正しくグレーに表現する露出】が適正露出と定義されています。
まあ、これはあまり憶えておかなくてもいい知識ですが、ナニがいいたいかと言うと、適正露出というのは、機械的に言うと【どんなグレースケールでも、みんな同じグレーに写ってしまう露出量】だということです。
そこには暗いものは暗く表現するとか、明るいものは明るく表現するというような恣意的な表現のための加減はありません。
ただ、これから説明する露出の値に関係するので説明をさせていただきました。

■露出量を表現する『EV値』という値
露出量を表す単位に『EV値』というものがあります。
これは『Exposure Value』の略で、日本語で『EV値』と書くと『露出の値の値』という意味になってしまうのですが、まあ一般的にもう『EV値』というのが定着してしまっていますので本稿でも『EV値』と表記します。
このEV値は、『ISO感度=100、シャッタースピード=1秒、絞り値=F1.0 で適正露出が得られる露出量をEV0』と定義しています。
20230708_01.jpg

このEV0から、絞りだけを1段絞ってF1.4にして、シャッタースピード1秒で適正露出が得られるのがEV1です。
つまり、露出量が一段分減ったときに適正露出が得られる明るさでEV値が1ずつ上がっていくということですね。
これを、ISO100の感度でのシャッタースピードと絞りの組み合わせで適正露出量が得られるEV値を一覧にしました。
これをご覧いただくとおわかりいただけると思うのですが、『1秒 F1.4』で適正露出が得られるEV値と『1/2秒 F1.0』で適正露出が得られるEV値は、いずれもEV1で同じです。
同様に、『1/125秒 F2.0』と『1/250秒 F1.4』も、両方ともEV9です。
このように、あるシャッタースピードと絞りの組み合わせから、絞りを1段開け、シャッタースピードを1段速くすれば同じ露出量であるわけです。
この辺の露出量の考え方については過去の記事にも書いてありますので、ご興味のある方はご覧ください(そっちのほうがわかりやすいかも)。
カメラの露出 ~ シャッタースピードと絞りの関係

■外部露出計(ニコンメーター)の場合
ニコンメーターはNikon Fの軍艦部、ペンタプリズムを囲うように配置されており、その一方にカメラ軍艦部の【シャッタースピードダイヤル】が接続されてシャッタースピードが何分の一秒かを読み取り、【絞りリング】に設置されたカニの爪をニコンメーターのピンが拾って絞り値を読み取っています。
ニコンメーターは外部測光なので、ニコンメーターの受光部が向いている被写体の明るさをEV値として受け取ります(実際にはその明るさに応じて起電流が発生し、その量によってEV値を知るようになっています)。
これでメーターの指針を動かし、撮影者はボディからニコンメーターがカメラボディから受け取ったシャッタースピードと絞り値の組み合わせを動かしてメーターの指針に適正露出が合致するように調整するという仕組みです。
このとき、ニコンメーターは被写体の明るさをそのままEV値として感知しますので、上の表のシャッタースピードと絞りの組み合わせを見つけるためには、シャッタースピードと絞り値の絶対値をボディから受け取らないと、いまボディ側で設定しているシャッタースピードと絞りの組み合わせで適正露出が得られるか否かがわからないのです。
これが、ニコンメーター開発時にNIKKORレンズにカニの爪が採用され、その取り付け位置をすべてのレンズでF5.6の位置に統一した理由です。
要約しますと、外部露出計(外部測光)の場合は、
・露出計による測光はカメラ本体とは切り離された状態で単独で行なわれ、純粋に被写体の明るさ(EV値)を測定します。
・露出計は測定したEV値を元に適正露出になるレベルを指針で表示し、撮影者に見せます。
・露出計はカメラ側からシャッタースピードと絞りの情報を受け取り、その組み合わせによって適正露出が得られるEV値を設定情報として撮影者に見せます。
・撮影者は露出計が示すEV値と、シャッタースピードと絞り値によって得られるEV値が一致するよう、シャッタースピードと絞り値を調整し、適正露出を得ます。
極端なことを言うと、外部測光の場合でも、カメラの外で得られた明るさの被写体は、(仮に⇒のようなレンズがあったとしたら)その露出計が測定している明るさのまま像面に光が届くレンズであれば、その明るさに対して何秒のシャッタースピードを切れば適正露出が得られるかを計算すればすみますが、実際には先に示したように焦点距離と絞りの口径によって絞り値が決まり、その分、光の量は減少してしまうので外部露出計はカメラ側のシャッタースピードと絞り値の情報を入手し、適正露出とのズレがどれくらいあるかを撮影者に示して、適正露出にするためのシャッタースピードと絞り値の組み合わせ決定の参考にしてもらうように露出計メーターで示しているのです。

■TTL(Through The Lens)測光の場合
外部測光と違い、TTL測光(Through The Lens)では、文字通り、撮影するレンズを通ってきた光を測光します。
TTL測光が開発された当時はデジタルカメラはなく、フィルムカメラしかありませんから撮像素子による測光は無理なので、第二の結像面である撮影者がファインダーから覗いて見るフォーカシングスクリーンの明るさを測定します。
(1)絞り込み測光
TTL測光が登場した初期は、現在のような開放測光ではなく、【絞り込測光】からスタートしました。
絞り込み測光とは、レンズにセットされた絞りまで絞り込んだ状態で測光するという方法で、フォーカシングスクリーンに映っている被写体の明るさは、実際に撮影時に絞られた状態の明るさをもっているので、この明るさに対して何秒のシャッタースピードで露光してやれば適正露出が得られるかを計算してあげれば良くなりました。
これが外部露出計による測光との最も大きな違いです。
つまり、実際に露光面に届いた光はすでに絞りが絞り込まれた状態の光であるため、光の量は実際に撮影時に露光面に届く量まで絞られていることになるため、あとはそれをどれくらいの時間、露光面に当ててやるか(シャッタースピードを何秒にするか)を決めてあげればいいだけ、ということです。
では、TTL絞り込み測光の場合、どのようにして露出を決めていたのでしょうか?
これは一眼レフ機のファインダーを覗いた時の状態を模式図にしたものです。
20230708_02.jpg

中央の薄いブルーの丸はピントを合わせるためのスプリットプリズム または マイクロプリズムです。
画面右側にあるのが『露出計のゲージ』で、画面からはみ出したような形のところに上下から伸びている濃い色のバーの間の切欠きの部分に針を合わせると適正露出になるという使い方をします。
針がオレンジ色に塗った針の位置にあると露出オーバー、中央の青に塗った針のところなら適正露出、濃い青は露出アンダーという具合に、絞りリングを回して実際に絞りが動くと、画面の明るさが変わると同時に針が無段階に動いてその時点での露出がオーバーなのか、アンダーなのか、適正露出なのかを撮影者に見せてくれる構造です(実際の針は黒一色です)。
あるいは絞りを先に決めておいて、シャッタースピードダイヤルを動かしても、その場合は画面の明るさは変わらないけれどもファインダー内の露出計の針は動いて、やはり適正露出に導いてくれます。
この絞り込み測光の場合は、レンズを通ってきた実際に撮影される光の量の増減を測光するため、レンズとボディの間には絞り値を連携するための伝達機構は不要です。
(2)開放測光
開放測光の場合でも、絞り込み測光のときと同様に、撮影するレンズを通ってきた光を測光します。
違うのは、レンズの絞りリングがどの絞り値にセットされていても、絞りは開放の状態で測光されるという点です。
絞り込み測光のところで書いたように、もしレンズを開放でのみ使うのであれば、レンズとボディの間で絞り値を連携するための伝達機構は不要です。
しかし、実際に絞りを絞り込んでも、開放測光の場合は絞りは開放のままで、実際にシャッターが切られる直前に初めて設定した絞りまで絞り込まれるので、測光のときは絞りリングが開放からどれくらい絞り込まれているかをボディ側に伝えてあげないと、適正露出を導くことができなくなります。
そこで、TTL開放測光ではそのレンズが『開放から何絞り分絞られているかをボディに伝える』必要が出てきました。
このため、NikonのAi方式ではすべてのレンズに開放F値のときに露出計連動ガイドが常にボディ側の露出計連動レバーのスタート位置に来るような位置関係で整形されるようになったのです。
こうすることで、絞りリングがどのF値を示していたとしても、レンズ装着と同時にそのレンズが『開放から何絞り絞り込まれているか』がボディ側に伝わる(大事なのはレンズの開放F値が伝わるのではなく、開放から何絞り絞り込まれているかが伝わるという点)ので、絞り開放状態で測光しておけば、その時のシャッタースピードを、何段絞られたかを加味することで決定することができるというわけです(先に示したEV一覧表の応用)。
NikonのAi方式が登場した当初、また、他社がNikonよりも遥かに先んじて同様の機構を採用していたときはこのようなアナログな絞り伝達機構であったため、ボディ側ではシャッタースピードや、いま装着しているレンズが『何段絞られているか』はわかっても、『実際にセットされている絞り値を知ることはできませんでした。
しかし、1993年頃からだと思いますが、レンズ内にCPU(私はそんな大げさなものではなく、単にROMのチップだと思いますが)が埋め込まれるようになると、実際にセットされている絞り値がマウント部に設けられた電気的な接点を介してボディ側に伝えられ、より精密な情報管理ができるように進化していきます。
こうしたことから、現在のデジタルカメラでは、撮影データとしてExifにシャッタースピードやISO感度だけではなく、その時の絞り値が記録できるようになっています。

■参考記事■
デジタル一眼とコンパクトデジカメ

カメラの露出 ~ シャッタースピードと絞りの関係

カメラの絞り値について

ちょっと私の文章ってくどいので、これがわかりやすいかと自問すると甚だ疑問なのですが、まあこんな感じです(^^;
『わからんわ!』という苦情も歓迎です(^^;
お時間がある方は感想などお寄せくださいませ m(_ _)m

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