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Nikonの非AiレンズのAi改造 〜 予習編 カニの爪とAi方式ってナニ? 〜

本日もご覧いただき、ありがとうございます。

先日、kub1951さんから送っていただいたレンズとカメラ。
もう興奮してしまって、毎晩、枕元において寝ています(^^)

今のところ、手を入れないといけないなと思っているレンズは、Micro Nikkor 55mm F2.8とNIKKOR 200mm F4.0の2本。
55mmの方は絞り羽が絞られないので、これを修理します。
ひとまず、愛知県の工房 ミノハさんに見積もり依頼をしたところ、翌日にはすぐに見積もりが返ってきました。
もちろん、開けてみないと確定の金額は出ないので暫定額です。
ただ、修理依頼がけっこうたくさん来ているらしく、あずかってから6週間くらいはかかるだろうとのこと。
まあそれくらいの期間待つのは全く問題ありません。
あと、ピントリングのゴムについては、ミノハさんにはスペアがあるわけではないので、これは別途調達しないといけません。
これを含めてレンズ全体を一括して直すのであればNikonのサービスセンター持ち込みもアリですね。
こんど、大阪に行く用事を作って遊びがてらNikon Plazaに行ってみて修理代金を見積もってもらうことにしましょう。
20230618_04.jpg

もう一本、200mmですが、これもかつて憧れだったレンズ。
20230618_08.jpg

もちろん、焦点距離としてはすでに手元にあるズームレンズ 75-300mm F4.5-5.6のズーム域に含まれてしまう焦点距離なのですが、やっぱりこれは使ってみたいじゃないですか。
第一、上記ズームだと、200mmの焦点距離だと開放F値が5.3に落ちてしまうのです。
同じ焦点距離でF4.0であることのアドバンテージは侮れません。
ましてズームではなく単焦点レンズ。
200mmという焦点距離に最適化されたレンズ設計は、いくら設計が古いとはいっても、多少新しくても設計思想がさして変わらない時代のズームよりはいいに決まっていると思うわけです。
レンズを前方、そしてマウント側から電灯にかざしてみても多少のホコリの侵入はあるものの、被写界深度が浅いレンズだから問題になるとは思えません。
反射コーティングが比較的新しいレンズの多層膜に比べて、おそらくは単層膜だろうと思われる点はビハイドといえばビハインドですが、オールドレンズですからね、ハローやゴーストも『味』です。
ただ、これをD750に装着するには絞り伝達方式をAi(Automatic maximum aperture Indexing)方式に改造しないといけません。
ところが、当のNikonではすでにAiへの改造サービスは終了済み。
でもね。
長年Nikon機を使ってきた身としては、Aiへの改造ってそんなに難易度高くはないんじゃないの? って常々思っていました。
いや、加工の技術は必要だし、もちろん、器用じゃないとうまく行かないのは当たり前なのですが、考え方としては実に単純じゃないか、ということです。



■カニの爪の絞り伝達機構について
Nikonで言うAi方式、つまり、レンズを装着したら何もしなくても開放絞り値がセットされて即座に撮影体制に入るというシステムは、他社ではNikonが実現するはるか前から採用されていました。
なのに、なぜNikonではこの方式の採用がおくれていたのか?
実は、Nikon最初の一眼レフ Nikon Fの時代に、ペンタプリズム部に外付けの『ニコンメーター』という露出計を装着して露出を計測する機構が採用されました。まだTTL測光(Through The Lens=実際にレンズを通った光を測光する方式)が考案される前のことです。
このニコンメーターは外部測光であるため、露出計上で適正露出が得られるシャッタースピードと絞りの組み合わせを示させるためにはレンズの絞り値(絶対値)をニコンメーターに伝えてあげなければなりません。
そのために件のカニの爪が作られ、ニコンメーター側のピンでそれを拾って絞り値を読み取っていました。
これは手元にあるレンズの絞り環とカニの爪の位置関係を映したものです。
50mm F1.4。
20230620_01.jpg

105mm F2.5。
20230620_02.jpg

そして、今回いただいた 200mm F4.0ですが、いずれもカニの爪がピンを挟む位置がF5.6の位置に統一されています。
20230620_03.jpg

これはつまり、カニの爪は絞りの相対値ではなく絶対値を露出計に伝えているということです。
爪の位置がF5.6と決まっているので、どんなレンズでも、どんな絞り位置でもその絶対値がニコンメーターに伝わるという意味です。

■TTL開放測光の登場
ニコンメーターのような外部測光の場合はこれで良いのですが、時代はTTL測光(確かASAHI PENTAXが最初に採用したと記憶します)の時代に突入し、それも開放測光が主流になっていきます。
開放測光とは、レンズの絞り値がどの値にセットされていても測光時は絞りは開放されていて(絞られていない)、その状態で測光を行ない、撮影時に初めてセットしている絞り値まで絞り込まれてシャッターが切れる、というもの。
この方式だと、測光は装着しているレンズの明るさを通して測光をする(正確にはフォーカシングスクリーンに投影された映像の明るさを測定する)ため、単に露出値を決定する際には実際にセットされている絞りの絶対値は必要ありません。
つまり、例えばF1.4の開放F値のレンズを使って測光する場合でも、F2.5のを使って測光する場合でもレンズを通ってきた光を測光するので、開放F値がいくつかということを知る必要はなく、その明るさを基準に露出を決めればいいのです。
これは実際にいま測光している光の量がレンズを通ってきている光の量なので、それに対するシャッタースピードを求めてあげればいいだけだからです。
絞りを絞らず、開放状態で撮影するだけならそれでいいのですが、では開放F値F1.4からF4.0に絞って撮影する場合はどうすればいいでしょうか。
この場合も絞りの絶対値は必要なく、『そのレンズの開放から何絞り絞り込んだか』を露出計に伝えてあげれば、露出計は『いま装着されている明るさのレンズで2絞り分絞っているなら、開放で1/250秒のシャッタースピードが適正だから、この場合は1/60秒にしてあげればいいよね』と計算できるわけです。
ここで、Nikonとしてはニコンメーターで採用していた絞り伝達の方式をまるっきり変えてしまうか、あるいはマウントそのものを新造して全く新しいレンズ・測光系を造ることも可能だったはずですが、従来のレンズ資産を活かすためにこのカニ爪をそのままTTL開放測光の絞り伝達機構に流用しました。
ところが、TTL測光の場合はレンズを通ってきた光の量を測るため、カニの爪の位置によって絞りの絶対値がわかったとしても、例えば絞り値をF5.6にセットした開放F値が1.4のレンズと、絞り値を同じF5.6にセットした開放F値が4.0のレンズを装着して測光した場合、そのレンズの開放F値がわかっていないと、いま開放測光で測光している光の量が実際にF5.6まで何段分絞られるかがわかりません(撮影時に初めてセットした絞り値まで絞り込まれるため)。
つまり、開放測光しているいまの光の量が、実際にF5.6まで絞られたときにどれくらい減るのかが分からず(もし開放F値が1.4なら4段分暗くなるけど、開放F値が4.0の場合は1段分しか暗くならない)、シャッタースピードを決めることができないという弊害が出てきてしまいます。
そのため、Nikonはレンズ交換をするときにはレンズの絞り値をF5.6にセットしてからレンズをマウントに装着し(これはボディ側のピンの定位置がF5.6の位置だったため)、装着後にいちどいちばんF値が大きい側まで絞り環を回し(前装着レンズのF値リセット)、しかる後に開放F値まで絞りを回すことで、ボディ側に『いま装着したレンズの開放F値を記憶』させる手順(通称『ガチャガチャ』)を踏むことでこれを解決しました。

■Ai方式の登場
しかし、Canon、PENTAX、Minoltaなどの主要な他社はすでにそんな手順を踏まずとも先に書いた『いまレンズは開放F値から何段絞った状態になっている』ことを伝達する機構を採用しており、旧来のNikonユーザだったら『昔からのレンズが使えてありがたいよね』と思っても、新規のユーザは『Nikonていいんだろうけど、ガチャガチャが面倒くさいんだよな』と敬遠される一因にもなりかねず、Ai(Automatic maximum aperture Indexing)方式を導入することになりました。
私が高校のときにアルバイトをして購入したNikon FEとNIKKOR 50mm F1.4とNIKKOR 105mm F2.5(いずれもAi方式の製品)をモデルにして観てみます。
レンズ装着時はボディ側のマーキングとレンズ側のピント指標のマーキングを合わせてマウントにレンズを挿入し、時計と反対方向に回します。
20230620_04.jpg

レンズが固定されるとレンズ側の露出計連動ガイドがボディ側の露出計連動レバーに接触します。
20230620_05.jpg

絞り開放状態でのこの位置は、開放F値がどんなレンズでも同じで、105mm F2.5を絞り開放で装着してもこのように同じ位置で露出計連動ガイドと露出計連動レバーの位置関係が維持されています。
20230620_06.jpg

そのため、カニ爪のときは、レンズ装着時は絞り環をF5.6に合わせてからレンズを装着する必要がありましたが、Ai方式になってからはレンズの絞り環はどのF値の位置にあっても問題ありません。装着した時点で『開放から何絞り分絞られているかがわかる』からです。
これをNikon Fのときに規格制定したFマウントで実現するために、レンズ側の絞り環のスカート部の一部を利用することで絞り連動ガイドとしたわけで(ここが当時のNikonのエライところ)、Ai改造はつまるところ、絞り環がレンズ装着時にボディ側の露出計連動レバーに干渉せず、レンズ装着後にその連動レバーを正しく動かせるように『絞り環を削って』やるだけでできるはずなのです。
これが『Ai改造が考え方としては単純なはず』と考える理由です。

...と、文字ばかりでだいぶ長くなってしまったので、続きは次回、ということで(^^;

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